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イチローと中井喜一

クリケットファンの同僚が選手を眺めながら「かっこいい・・・」とつぶやいているのを観て、なんとなくイチローのことを思い出した。イチローは確か私が学部の4年のころにメジャーリーグに行った、ような気がする。私はスポーツ全般にまったく興味がないので、野球のルールをそもそもよく知らないし、選手といえば野茂と松井とイチローと落合ぐらいしかわからない。しかしそれとは関係なく、イチロー選手のアスリートとしての美意識はかっこいいし、色っぽくて素敵な人だな、とテレビに出るたびに思う。

学部時代にゼミで、「イチローさんってかっこいいよね~」、「ね~!」という話で全員が意気投合して盛り上がっていたとき、「ほんとかっこいいよね~、イチローになれたらいいのに」と何気なく言ったところ、他のメンバーが「え?なれたらってどういうこと?」と口をそろえて聞き返してきたことがある。女子の友人たちは、「私はイチローと付き合いたいとか結婚したいとは思うけど、イチローになりたいとは普通思わなくない?」といい、野球部でイチローファンだった男の子は「俺はもちろんイチローになりたいけど、君は立場が違うだろう?」と言った。

イチローを好きだからイチローみたいになりたい、というのと、イチローを好きだからイチローと結婚したい、というのは相当違う。要するに彼らの言わんとするところは、女の子が嵐のほにゃらら君(すなわち異性の有名人)を好きだと言う時、そこには「好きだから、あんなふうになりたい」という意味は普通こもっていないということであった。

職業的、あるいは生き方的審美感に男も女もないだろう、イチローと恋愛していったい何が楽しいのだ、とその時は思ったのだが、イチロー選手みたいな存在はアイドルと社会的アイコンの中間あたりに位置しているのかもしれない。私としてはストレートなイチロー好き女子の50%は「イチローみたいになりたい」派であると今でも信じているが、真相はわからない。

ちなみに、私が日本の芸能人で一番好きな人物は中井喜一さんである。これはなんと小学校のころから一貫して変わっていない。私が小学校のころ、中井喜一はソフトな役者で、観月ありさなんかといわゆるトレンディードラマで競演していた。中年になってからは、タフで渋い役が多くなり、かっこよさに磨きがかかった。

実は私には、中井喜一さんは私とめちゃめちゃ趣味があう、という根拠のない思い込みがなぜかある。お笑いの趣味や、人間の趣味、映画や本の趣味、人生観がぴったり合うに違いないと確信しているのだ。なぜかはわからない。テレビで見るたびに、「ちっ、私たちが出会っていれば、大親友になれたか、大恋愛になっていたのに」と思うのだが、現実はせちがらい。このばあい、私自身が中井喜一になりたいとは別に思わない。みんなそれぞれの妄想の中を、それぞれに生きているわけだ。